倫理に関するガイドライン

具体的かつ詳細な倫理規定を制定しなければならないような事例が発生するまでは、以下のガイドラインに沿ってマインドフルで思いやりのある実践や研究を心がけてください。

ガイドライン

目の前にいる相手と自分との間において生じるランク(権威や力関係)の差をしっかりと自覚したうえで、そのランクの差によって自分が持ってしまっている力を相手のために使いこなすように努めましょう。そのためには、相手が何を望んでいるか、自分に気づいていないところがないかどうかについて、聴くマインドフルネス・話すマインドフルネスをしっかりとおこないながら実践や教育・研究活動などを進めてください。これは、家族関係、臨床実践、瞑想指導、研究活動を問わずシームレスにつながってゆくことが望ましいものです。また、個人情報の保護をはじめとして、SNSやマスコミ等での発信においても同様な配慮を心がけましょう。マインドフルネスを用いた社会的活動に関わる際には、所属組織の規制に従った上で、過剰な期待を抱かせたり、中傷や分裂を招く種をまいてしまったりしないように注意しましょう。

もしこうした出来事が起こってしまったときには、聴くマインドフルネス・話すマインドフルネスの実践によって問題の原因と本質を究明し、関係性を改善して相互の学びと成長のための機会とすることができるように努めましょう。そして、具体的な倫理規定の設置が必要だと思われる場合には、直ちに倫理委員会に報告してください。

参考情報

聴くマインドフルネス・話すマインドフルネスに関する情報

  • 片山一良(訳)「正遍智(日常動作の観察:語るにも黙るにも正しく遍く知りながら行う)」:「念処経(Sati-paṭṭhāna sutta)」『中部根本五十経篇I』大蔵出版
  • フロイト, S. 「差別なく平等に漂わされる注意」「分析医に対する分析治療上の注意」『フロイト著作集9』人文書院
  • バリント, M. 「全人的医療」:『医療における精神療法の技法』誠信書房
  • 池見酉次郎(監修)「薬としての医師」:『バリント療法全人的医療入門』医歯薬出版
  • ワトキンス, J. G. 『治療的自己:治療を効果的に進めるための医療者の心得』アドスリー


ランクに関する情報

  • ミンデル, A. 『紛争の心理学』講談社


倫理に関する基本情報

  • 14のマインドフルネス・トレーニング(行動指針):(14のマインドフルネス・トレーニング | tnhjapan)ティク・ナット・ハン『ブッダの幸せの瞑想』参照
  • ヒポクラテスの誓い:日本医師会HP参照
  • ニュルンベルク綱領:(ニュルンベルク綱領|法令・綱領・指針|福岡臨床研究倫理審査委員会ネットワーク RecNet Fukuoka (kyushu-u.ac.jp))参照
  • ジュネーブ宣言:(WMAジュネーブ宣言|世界医師会|国際活動|医師のみなさまへ|日本医師会 (med.or.jp))参照
  • ヘルシンキ宣言:(ヘルシンキ宣言|世界医師会|国際活動|医師のみなさまへ|日本医師会 (med.or.jp))


研究関連

質の高い研究論文の作成

臨床関連

一般参考情報

  • T4作戦に関与したことに対するドイツ精神医学精神療法神経学会が正式に謝罪文を表明するまでの経緯:岩井正一 「70年間の沈黙を破って:ドイツ精神医学精神療法神経医学会(DGPPN)の2010年総会における謝罪表明」『精神神経学雑誌』113(8), 2011.
  • タスキギー梅毒実験からクリントン大統領の謝罪に至るまでの経緯:タスキギー梅毒実験 – Wikipedia
  • ドュヴァーネイ, A.M. 『13th-修正憲法13条 』: BLMの背景にある人種差別の政治的構造化の問題
  • ナオミ, K. 『ショック・ドクトリン』: 新自由主義による災害や戦争を利用した搾取の構造

日本マインドフルネス学会(倫理委員会)